BLOG 【かえる日和】
3.192019
原寸図 とフランス語の関係
天板が曲線で作られたカウンターにかさ上げして、一段高く天板を追加する、というお仕事をいただきました。
最近は、内装の改修において造り付けの収納とか、間取り変更や段差改修等の問題解決系か修繕関連のお仕事をいただく事が多いのですが、今回のお仕事はどちらかというと造り物的な要素が強く、医院の受付カウンターに装飾を付加するといった工事となります。
今回改変するカウンターはちょっと変わっている形状をしていまして、上から見ると、細長いソラマメのような形状をしています。
付加するものは既存の天板に無関係な形状にはならず、ある程度形を合わせていかなければなりません。
そうでなくても、一応現状の形は控えておく必要があります。
こういう時はどうするかというと、まずは線が透ける薄い板を用意して対象にあてがい、その形状を写し取ります。
その後 更に図面に起こし、原寸図を出力したり、製作に都合がよいようにべニア板に型を写し取ったりします。
この、製作にかかわる型紙のようなものを、製作の現場では一般的には冶具と呼ばれています。
私は、今でこそ住宅の内装工事なんかを生業にしておりますが、かつては店舗や住宅における金属の建具や装飾品などを制作する工場でモノづくりに携わっておりました。
そこでは複雑な形状を起こす際には原寸の冶具を作製するのですが、現場ではそれを「ガバリ」と呼んでいました。
おそらく業界では広く認知されている用語だったと思いますが、私はそれをずっと日本語だと思っていたのでした。
ある時、それがフランス語を語源とする言葉だということを知るのですが、職人の使う現場用語が舶来由来って、かつて日本の職人が海外からの技術を取り入れた時の言葉が案外残っているのかななんて思うと、当時の職人さんは案外グローバルな感覚で仕事をこなしていたのかもしれませんね。
さて、そのガバリですが現在も技術のリミックスは進んでおります。
現物をトレースするというのは今も昔も変わらないのでしょうが、今ではCAD化が必須となっておりその作業はちょっとひと手間、頭と手を使うことになります。
今では写真を撮ればアプリ上で一発でトレースできてしまう、なんてものもあるようですが、そこまで進化したシステムではないにしろ原理はその写真を基にした技術をベースに手を使って起こしてゆきます。
書き写した半透明のパネルは定尺ですので、まずは写真を撮ったうえで画像処理を施しゆがみを修正して比率を合わせます。
そして、その画像をCAD上に取り込んでサイズを合わせ、トレースすれば原寸でほぼ同じ形を再現できます。
こんな感じで、モノづくりを進めていくうえでいろいろな手間をかけて形にしてゆくプロセスは大変楽しいものです。
まだ、図面の中にしかない、もっと言うと自分の頭の中にしかないものを人に伝えて、機械に伝え、お客様から受け取ったイメージを完成形にしてゆく事が私どもの使命です。
技術はどんどん進歩していますが、基本は同じ。
私どもも基本はじっくり、新しい技術もしっかり取り入れ、お客様のイメージを予想を上回るクオリティーでお届けできるようにがんばってゆきたいです。
コメント
-
2019年 8月 17日トラックバック:カウンターの装飾金物 | キバナデザイン
この記事へのコメントはありません。